子どもの本心に出会う一瞬

子どもの本心に出会う一瞬
 2月9日は私立高校入試の日です。塾の中3生も今は各自が志望校の過去問題に取り組んでいます。自分の実力より少しレベルが高い特進クラスを受験するM子さんは、問題が難しいこともあってなかなか目標点数に届かない現状です。試験の日が近づくにつれてこちらの方が焦ってきてこんな言い方をすると逆効果と思っていても
「もうちょっと家でしっかりやってきてよ」とついついおしりをたたく言動になってしまいます。M子さんから「私だってこれでも図書館とか行って覚えようとしているのに」と言われると「そうだよなあ」と反省したりしています。
 そんな時、中3のT君から「俺、面接あるんだけど何がしたいか聞かれても、思いつかないんだよな。どうしようかなあ」との相談です。
 T君は成績優秀で理系の専門高校の推薦入試を受ける予定です。日頃から「何がしたいの」と将来のことをたずねても「うーん、何にも」と答えるだけではぐらかされてしまいます。でも、この日は珍しく本人から話をするので「本当にどんなことがその学校でしたいの」とたずねると「電子工学だからコンピューターのソフトで役には立たないけれどおもしろいものを作りたいんだよね」
 それを聞いていてふと、こないだ私が友人から送ってもらったマウスが可愛いうさぎに変わるソフトの話をしました。その話を聞いてくれたT君は「何かそんな癒し系のソフトっていいよねえ。俺もそんなちょっとした楽しいソフト作りたいなあ」と返してくれました。
 それで「じゃあ、今話したことを面接の時に言えばいいんじゃない。あなたの気持ちが伝わると思うけど」と伝えました。
 次の日、T君が「昨日、ここで話したことを学校の先生にしたら、やっと言いたいことが見つかって良かったねと言われた」と話してくれました。
面接の相談を通してT君のやりたいことの一端を聞くことができました。
何よりもいつになく真剣に自分のことを話してくれるT君に出会えたことがとてもうれしく感じました。どんなことからでもこちらが子どもたちのサインを見逃さずアンテナを張っていれば、本心に出会うことができるのだと思いました。