「あーそうだったのか」が大切

「あーそうだったのか」が大切
  ゴールデンウイークも過ぎて、新学期から早1ヵ月以上過ぎました。塾も、4月から入塾した生徒さんたちも少しづつ慣れてきた様子です。
 中1になったS子ちゃんは昨年1年間でとてもたくましくなりました。
 今までは顔を上げないことが多かったのに、今は「先生、できました」とか「先生、この問題がわかりません」とはっきりした声で言えるようになりました。
 新しく塾に入った同級生のK子ちゃんが数学や英語に戸惑っていたら、積極的に声をかけてくれます。そのこともあって数学の正負の数という新しい単元にも意欲的に取り組んでいました。
 そのS子ちゃんですが、最近、中間テストを前にして、どうも数学の計算の間違いが目立ちます。
 今まで計算が苦手だったK子ちゃんが着実に答えが合っていくようになったのに比べて、プリントを何枚かやっても間違い数が減りません。
 見てみるとどうも暗算でやっている様子で丁寧に途中の式を書いている様子ではありません。
 「面倒でも式を書いてね」と言っても一向に改善している風には見えません。
 こちらから説得してもそれでは根本的には続きません。そこである試みをしてみました。
 勉強をしている最中に動いた心を紙に書いてもらいました。
 そうすると「どうして?わかっているのに間違いが多いのはおかしい」とS子ちゃんは書いていました。それで、私はS子ちゃんにこう言いました。
 「ねえ、春休みに正負の数を勉強したときはスムーズにわかったでしょ。それで私はわかってると思って少し気を抜いたんじゃないのかな」その言葉を聞いた時、S子ちゃんはもう一つ、合点がいかない様子でした。
 それでさらに続けました。「ほら、春休みに自信と過信の話をしたでしょ。覚えてる?できるとどうしても過信になっちゃうんだよね」その言葉を聞いたとき、S子ちゃんの態度が変わったように思いました。
 具体的に言うと説得されたのではなく、自分が納得した顔つきでした。
 それからは、計算式をきちんと省略しないで書くようになり、もちろん間違い数は大幅に減り、学校の課題の問題集もつまずかないで短時間で仕上げることができました。
 「こうしなさい」と伝えるのは簡単ですが、本人が「あーそうだったのか」と原因がわかるとすっきり感覚になって勉強は自然とはかどるものです。
 目には見えない心の思いが外の計算の出来具合や意欲に影響を与えていることが改めて確認された時でした。
響ゼミ・中澤弘子塾長ブログは当塾の公式サイトに全文掲載しています。