人は必ず成長する存在-2
人は必ず成長する存在-2
E子さんが自分の悩みを連絡して来る時、私はまず彼女の気持ちを黙って聞きます。それと共に彼女が感情的になっているなら冷静になるまで待つようにしています。
人は苦しい時、どうしても「周りは私をわかってくれない」と思い込みがちです。
E子さんも家族があまりにも彼女が大変そうなので「無理しないでいいのよ」とか「あなたには理系が向いていないんじゃない」と言った言葉によって、ますます「こんなに私はがんばっているのに」との思いを強くしていくこともありました。
私の塾では、勉強をただ教えるだけではなく、「自分の心を見つめるシート」に取り組んでもらいます。まず、何よりも何のために勉強するのか、一人ひとりの願いや志を確かめます。初めはわからないと言っていても幼い時の話を聞いていく中で小さな願いの芽が見つかります。
たとえば、E子さんの場合は、大好きなおばあさんが亡くなる時に何もできなかったことへの後悔から医療に携わりたいと思うようになったそうです。
このようにして、どんなことでも生徒さんが話してくれたことに対して、こちらがその願いを肯定する側に立つようにしています。
次に、その願いを阻む「つぶやき」を一緒に探していきます。「どうせ、無理」とかのような、いつもすぐに話をしていて出てくる「つぶやき」です。そして、どうしてそう思うのか聞いていきます。そうすると、ちょっとしたことで「あなたは、・・・だから」と言われたことが心に残って「もしできなかったらどうしよう」と始める前から失敗することを気にしすぎていることに気づいたりします。それだけでも原因がわかって、なぜかわからない不安から解放されるものです。
(つづく)