塾生に励まされて……
塾生に励まされて……
先日、塾生が私を励ましてくれたり、支えてくれていることがあると書きました。
今日もそのお話です。
以前、登場した中3のM子さんのことです。
彼女はとても照れ屋さんで、どうも素直に自分のことを話すことが苦手です。
いわゆる斜め45度の生徒さんでしょうか。
そのことをM子さんに伝えたらすかさず「うちは、斜め72度やから」と返事が返ってきます。ああ言えばこう言う手ごわい生徒さんです。
塾でも下級生から「あの人の言っていることようわからへん。こわいわあ」と言われています。
表面上はそんなM子さんですが、実はとても心細やかというか、他人の痛みがわかる生徒さんです。彼女は本を読むことが大好きでいつも学校や町の図書館で本を借りています。
昨日、新しく中1のM君が塾に来たときのことです。その日は何かと忙しくM君につきっきりというわけにはいきませんでした。するとM子さんが私の所によってきてこう言ってくれました。
「先生、あの子、さっきから鉛筆とまっているよ。ほら、以前に塾でわからない所があっても先生に質問できずに、家に帰っておねえちゃんに聞き続けてきた子がいたじゃない。途中でやめた子いたでしょ。あの子もそうならないように気をつけてあげたほうがいいよ」
本当にその通りで、以前M子さんが覚えていてくれたように塾で聞けないことが理由で塾をやめた生徒さんがいたのです。M子さんが私に注意してくれたおかげで、すぐM君に関わることができました。何か、たよりになる同志を見つけたって感じでした。
実は、なぜM子さんがそれほど本を読むようになったかには理由があるのです。
突然、お父さんのお仕事の都合で、小学生の時に学校を変わらなければならなくなったM子さんは新しい小学校のクラスになかなかなじめなかったそうです。
そんな彼女の拠り所は図書館で本を読むことだったそうです。友達がいなくても、本を読むことで学校に通うことができたM子さん。
だから人一倍、他人の寂しさや辛さを敏感に自分に引き寄せることができるのだと思います。
学校でも、不登校のクラスメイトにノートを取って、持っていってあげたり見えない所で友達のことを考えてあげたりしています。
今日、M子さんに「昨日はM君のこと、ありがとう」と伝えると、にこっと笑って意欲的に勉強に取り組んでいました。
他人のことを思いやる心は相手だけでなく自分のやる気のエネルギーを引き出すことにもなるのだなあと思いました。
今日も、塾生に励まされた一日でした。