親の4つのタイプ-2

 
 「こうあるべき」の理路整然タイプ
 このタイプの保護者の方は子どもさんに対して、どちらかというと正論で関わります。テストの点数を見ても、間違った箇所のほうが目につくのでどうしても「これはこうでしょ。前も間違っていたでしょ。『ちゃんとやり直しをしなさい』といつも言っていたでしょ」と話すので、子どもさんは、「その通りなのだけどこれ以上言ってもわかってくれない」という思いになりがちです。
 よく「これはお父さんの耳に入れると理由を聞かないで怒るから、内緒にしておこう」と話がまとまり、お父さんが帰ってくると今までわいわい盛り上がっていたのが、すーっとみんなが自分の部屋に戻っていくといった感じです。
 お母さん、お父さんは「なぜ、正しいことを言っているのに、わからないのだろう」とつぶやき、「それなら、もう勝手にしなさい」と子どもさんに言い放ったことはないでしょうか。そう言われたほうは黙ってとりあえず謝るかあるいは「じゃあ、もういい」と逆に切れるかです。
 どちらにしても、やる気の芽は育ちません。確かに、足りないところを指摘することも大切ですが、まず前と比べて、子どもさんが少しでも頑張ったところを認めるようにしてみたらどうでしょうか。
 塾に夏休み前に入った中1のB子さんは、学校の進度がとても速くて、いつも宿題に追われていました。課題をすることで精一杯で、自分で理解して勉強するという余裕がありませんでした。だから、わからないだらけで、いらいらもつのります。こちらが説明しても「そんなん、わからへん。なんで!」の繰り返しでした。そんな態度に対して「それはわからないあなたが問題」と最初は私も思いました。でも彼女の立場になって考えてみると納得できないままに次に進むことほどおもしろくないことはないだろうなあと思うようになりました。
 それで、何よりも本人が少しでもわかるすっきり感を味わってもらうために同じ問題を何回もしてもらうようにしました。そのうちにだんだんB子さんは自分で問題が解けるようになり、学校の授業もよくわかり、中間テストでも塾で取り組んだ文章題は解けるようになっていました。
 「初めの頃に比べるとだいぶ変わったね」と声をかけると「えっ。そうかなあ」との返事です。できるようになると誰でも以前の自分のことは覚えていないものです。でも大切なことは自分がどれだけ変わったかをしっかり知ることも自分が成長したことの糧となり、ならば次はここまで頑張ろうとの意欲につながります。
 「わからないのはあなたの努力が足りないから」から「ここまでわかるようになったのはあなたの成長」と認め、ほめてあげることもほめるのが苦手なこのタイプの方には必要かもしれません。子どもさんは何といってもお父さん、お母さんに認められることが頑張るエネルギーの源となるものです。(続く)