子どもの「こころの声」を訊いて、引き出すことができたら…
子どもの「こころの声」を訊いて、引き出すことができたら……(前編)
子どもたちの可能性を引き出すときに大切に思っていることは、「勉強をさせることではなく本人が自主的にやらなければと思ってもらうこと」です。しかし、このことは言うは易し、行うは難しいことが多々あります。
中3のM子さんは、興味のない苦手な科目の理科に取り組むことが苦手でいつも後回しにし、その結果、学校のテストの点数も上がらず、その現実を見て「うち、理科は無理」とあきらめモードで3年生になりました。通常、当塾では英語と数学が中心ですが、このまま本人に任せておくわけにもいかず、「じゃあ、一緒に理科も勉強しよう」と声をかけました。
そのときは気軽に「うん。わかった。やってみる」と元気に言ったM子さんもいざテスト勉強になるとそうはいきません。
「先生、わかれへん。やりたくない。帰らせて」の連発です。ここで上からおこって「何、言っているの!やりなさい!」と言うことは簡単ですがそれではM子さんが無理やりさせられていると感じいやいやするので頭に入らないことが多いものです。
それでは、どうしたらM子さんのやる気を引きだすことができるのだろうと考えました。そのとき、高校生のH君が「塾に来ることじたいが勉強したいと思っている」と言った言葉を思い出しました。「そうだ、きっとM子さんも本当は、今までの自分を変えて頑張りたいと思っている」と感じました。そこでまず、彼女の気持ちをそのまま受けとめて、そして見えない思いを信じようと思い、「そうね。確かに難しいよね。でも、私にはあなたの本心はもっと理科を勉強したいと聞こえるんだけど……」と言いました。それを聞いたM子さんは「先生、頭おかしくなったんじゃない。信じられへん」と言いつつもテスト範囲最後まで問題集を仕上げて「あーやっと終わった」と機嫌よく帰っていきました。
さて、そのM子さんの理科の結果はどうだったでしょうか(続く)