親の四つのタイプ-4
「ああなったら、こうなったらどうしよう」の不安増大タイプ
このタイプの保護者の方は、「ああなったら、こうなったらどうしよう」と過剰に不安になって親子ともに落ち込んでしまうタイプです。
もし、お子さんが高校受験で、自分の学力より上の高校を受験したいと言って、学校の先生から「合格率が半分以下」と伝えられたとしたら、また、浪人中のお子さんが受験した大学から次々と不合格の通知が届いたら、「どうしよう。何でこんなことに・・・これからどうなるのだろう」と不安がつのり、何をしていても手につかない重い気持ちになるのではないでしょうか。
「こんなことにならないように、前からあの子には早めに勉強しなさいと何度も言っていたのに、どうしてやっておかなかったのだろう」と気がつけば、愚痴の言葉が口をついて出てくるかもしれません。もちろんこの思いはそのままお子さんに伝わり、ますます親子で落ち込んだり時には喧嘩になったりします。
そのような時こそ、大切なことはお子さんを信じることです。たとえ現実がどんなに厳しくてもお父さんやお母さんが、その現実をあるがままに受けとめてください。
私も長年、受験という試練に同伴していると必ず生徒さんから「先生、私、どうしてもこの学校に行きたい」と実力のワンランク上の志望校を間際になって言われます。
受験1カ月前では合格可能性は、五分五分か、それ以下が多いです。
正直「これはかなり難しいな。よほど頑張ってもらわないと。できたらもう一度考え直してくれないかな」とさまざまな思いが心をめぐります。
特に「もし、良い結果が出なかったら私の面目丸つぶれ」という自分を守る思いが心の奥にあることに気づきます。
以前、受験生のお母さんから「もし、この子が合格しなかったら私の立場がないと思っていました。子どものことを心配しているつもりで、本当は自分が恥をかきたくなかったのですね」と言われたことがありました。
お母さんが、そのことに気づかれてからお子さんとの関わりが変わりその結果、お子さんは見事志望校に合格しました。
生徒が志望校を決める際、いろいろ迷いがある時は、その思いをとことん聞くようにしています。そして、現実的に厳しいことも率直に話します。その後、必ず本人の気持ちが定まるまで待ってから最後まで一緒に勉強につきあいます。その期間、生徒から「もう、やっぱり無理。合格するとは思われない」と弱気な発言を何度も聞きます。そのときに私が彼らに言う言葉は「やるだけやってみよう。越えられないハードルはこないから」です。そう言われると相手はなぜか不思議と納得し心が落ちつくようです。
これから、受験も本番で受験生はストレスがたまる時期に突入です。
どうぞ、保護者の皆さん、お子さんに対して、「どうしよう。やっぱり無理かなあ」とのため息から「今は大変だけれど、きっとこの子の成長には必要な試練」という思いで、信じ見守ってあげてください。そして「このごろたくましくなったね」と明るく励ましのエールを送ってあげてください。
どのような結果が出ようと、お子さんが全力を尽くし、挑戦する人生を応援してあげていただきたいと思うのです。