私立中学入試、二週間の奇跡の物語

私立中学入試、二週間の奇跡の物語
 1月は大学入試センター試験もさることながら私立中学入試の時期です。
 私の友人のYさんの娘さんのM子ちゃんもその受験生の一人でした。先日、M子ちゃんのことでYさんから相談を受けました。
 志望校を2カ月前に大学まである学校から中高までの学校に変更したこと、そして塾の先生から算数が目標点に至っていないので難しいと言われていること、何よりもM子ちゃんが算数に対してやる気がでず、「算数はできない」と言っていることでした。
 中学の入試まで後2週間足らずでYさんはどうしたらいいのかと悩んでいました。M子ちゃんは塾だけでなく、個人的にも算数を教えてもらっているし、どの先生もよく教えてくれています。「なのにどうして算数の成績が伸びないのかわからない」とYさんは話してくれました。
 一体何が原因なのかとYさんの話を聞きながら「あなたはM子ちゃんの算数をみてあげないの?」とたずねると「だって私、算数が苦手だし、私立の算数はすごく難しいから」との答えが返ってきました。確かに、私立中学の算数はかなりレベルが高いのでYさんの言う事ももっともです。でも、塾の先生の関わり方はともかく、YさんがM子ちゃんにどう関わっているのかが気になりました。
 「そうだよね。でもM子ちゃんの周りの先生は当たり前だけど算数がよくできる人ばかりでしょ。そうすると余計に自分ができないことが不安になるかもしれない。だったら算数が苦手なあなたが、たとえ問題が解けなくても解答を見ながら一緒にそばで考えてあげたらどうかしら」と提案しました。
 Yさんは最初、自分が算数ができないことでM子ちゃんが「お母さんが算数ができないから私もできないのでは」と思われたら困ると、一緒に勉強するのを躊躇していたそうです。でも、話をしていて、以前、Yさんが一緒にM子ちゃんが問題を解くのをつきあった時は頑張って取り組み、模擬テストの成績が良かったことを思い出し、とにかく短期間だけどやってみると約束してくれました。
 それからのYさん親子の関係はそうすんなりとはいかずM子ちゃんから「塾で勉強するからいい!」と何度も言われ、それでも諦めずに少しの時間でも一緒に問題を解くように心がけたそうです。
 そして今月の1月20日がテスト当日で、次の日が合格発表でした。
結果は見事合格でした。
 自分でも信じられないと涙涙のM子ちゃんの報告を受けた塾の先生も合格の報告に驚かれたそうです。
 そして、YさんはM子ちゃんから「お母さんが算数が苦手なことは知っていた。でもお母さんが私と一緒に勉強してくれたから」と言ってくれたそうです。Yさんは今回の受験を通して合格ということはもちろんですが、親子の絆というもっと大きなプレゼントをM子ちゃんからもらったのではないかと思います。本当に、Yさん、M子ちゃんおめでとうございました。